「空冷ビートルを何かお手軽に速く出来ないものか?」
ノーマルの空冷ビートル(ワーゲン)に乗られている方の中にはこんなことを考える方も多いはず。そこで最初に行き着くのが、シングルキャブレターからキャブレターを2つにする「ツインキャブ化」ですが、その代表格「カドロンキャブ」は付けたらホントに速くなるのでしょうか?
カドロンキャブレターとは?
カドロン/ツインキャブレターキットは、かつてブラジル/サンパウロにあった自動車製造・パーツメーカーのカドロン社(Kadron)が販売していた空冷VW用ハイパフォーマンスキャブレターキット。キャブレター本体はフランス/ソレックス社(Solex)のキャブレターH40/44EISをブラジル/BROSOLがライセンス生産した物を使用。空冷VW用キットとしてカドロン社が販売していました。
VW純正キャブレターと同じソレックス製であったことでの信頼度の高さや、2シリンダー1バレルキャブの扱い易さなども手伝い、気軽にバワーアップが望めるカドロンキャブレターキットは世界中で好評を得られ、爆発的な人気に!
当時は1200cc用、シングルポート1300cc・1500cc用、デュアルポート1300cc・1600cc用などが販売されていましたが、現在入手可能なのはデュアルポート用のみです。
カドロン「タイプ」
すでにカドロン社は存在しませんが、現在でも引き続き当時のカドロン/ソレックスの製造メーカーであるBROSOL社がキャブレター本体のみは製造している為、それを使用したカドロン「タイプ」ツインキャブレターキットとして他のパフォーマンスパーツメーカーから今でも入手可能です。EMPIではキャブレター本体も自社製(コピー品)ですが、性能面で本物より劣ることはなく、むしろ本家より高精度で作られています。現在では当時無かったオリジナル大口径モデルなどもあり、カドロン「タイプ」キャブレターキットの利用価値は当時より広がっています。
なぜツインキャブレターはハイパフォーマンス?
一般的な日常使用では必要十分な性能を発揮する純正シングルキャブレターですが、ハイトルク・高回転域を必要とするスポーツ走行やチューニングエンジンでは役不足
- 4シリンダーを1つのキャブレターでカバーすることによる高回転域での混合気不足
- キャブレター位置がシリンダーから離れていることによるレスポンスの悪さ
- 1シリンダーごとの燃料調整が不能
高効率・ハイパフォーマンスを狙ったチューニングでは、混合気をどれだけ効率良く多く吸入出来るかが鍵である為、キャブレターの大口径化が出来、吸気ポートに近い位置に取り付けらるツインキャブ(多連キャブレター)は切っても切れない必要不可欠なアイテムです。
※空冷ワーゲンで言う「ツインキャブ」とは、純正のシングルキャブレターからキャブレターを左右シリンダーヘッドに1つずつ付けることを指します。(別名デュアルキャブレター)※キャブレター2つを一体化させ1ボディーにした物をツインキャブと呼ぶ場合もあります。
カドロンでどれくらいパワーアップ?
1600ccノーマルエンジンをベースに、ノーマル(赤)カドロン+シングルクワイエットマフラー(黄)カドロン+マフラー+ハイレシオロッカー(緑)での馬力とトルク値を比較したグラフです。
馬力は4000回転付近をピークに15〜20馬力ほど向上。トルクも一定して増えていることが分かります。数値上では40%〜50%の性能向上したことに!
ただ実際は、エンジン内部がノーマルである場合、空冷ワーゲンの回転リミット(レッドゾーン)である5000〜5500回転であることは変わらない為、最高速の向上はグラフ値に比例せず微々たるところ。その代わり、加速性能・登坂能力等は著しく向上することが期待出来ます!