某中古車サイトに出ていた1台のフォルクスワーゲン・ビートル。今までの感覚では正直想像もつかなかった「540万円」のプライスが!?ついに空冷ビートルも高級クラシックカーの仲間入り!?
1998年式ビートルとはどんな車?
1998年式ビートルとは、メキシコで生産されていた空冷ビートル。いわゆる「メキビー」。メキシコビートルはドイツでの生産と平行する形で1950年代よりメキシコ国内でノックダウン生産を開始。1967年にはVWメキシコ法人により大規模な専用工場が作られ、本格的な生産が始まりました。
メキシコでの生産が始まった当初はドイツから部品を輸入し現地で組み立てるノックダウン方式を取り、本格的に生産が始まった後年はすべての部品を現地で製造。メキシコで作られたビートルはドイツ本国の年代別仕様とは異なる独特なディテールを持ち、80年代以降になるとドイツや日本で言う所の70年代の「高年式ビートル」と変わらない姿へなりました。89年からは輸出国の排ガス規制などに伴い、キャブレター方式からボッシュ製の電子制御インジェクションへと変更。1998年式は最終型に近いモデルです。
日本でのメキシコビートルは「新車の空冷ビートル」「気軽に乗れるクラシックカー」として人気を博し、1988年頃より生産終了の2003年まで多く輸入されました。
製造年でなく輸入年
今回中古車サイトに出ていた車両画像は、どう見てもメキシコビートルではなく60年代のVintage…。
単なる年式の記載ミスや画像間違いの可能性もありますが、「輸入車」であることを踏まれると、考えられるのは「製造年欄に輸入年」を記載されているパターン。
日本車は国の型式認定を受けている為に車両情報が明確ですが、並行輸入車は型式認定を受けていない為「型式不明」扱い。その為、年式等の車両情報は公的に保証されることはなく「あいまい」です。中古車サイトでは車検証のみが車両情報のすべてあることもあり、あいまいな自己判断による年式ではなく、車検証の初年度登録欄に記載されている年をそのまま「製造年」として掲載している場合があります。
価格は状態次第
60年代と言っても1960年式か1969年式かで相場は大きく異なりますが、平均相場以外にも考えなくてはならないのが、車両の状態。古い車であれば車両の状態は10台あったら10台違います。
「状態」とは単に錆やダメージだけでなく、どの程度直されているかも含まれ、新車時から手つかずであればダメージは経過年数・走行距離に応じて蓄積される為に車両の状態も悪く、手を掛けよく直されている車両は良好な状態にあります。
世間一般的に悪くなった状態をリセットすることを「レストア」。悪くなった部分を改善することを「修復」と呼び、その手間が直接価格に反映されます。ただ、車両の値付けは販売者の自由なので、「高ければいい物」であるとも限りません。
「540万円」は妥当な金額?
1960年代でも1967年式までと68年69年とでは社会的価値に差があり、1967年までのモデルで真面目にレストアを受けた車両では500万円を越える額になることも珍しくはありません。
ただそれは特殊な例で、一般的な60年代の空冷ビートル中古車価格は、上限約400万円程度。仕上げたばかりではない車の価格としては「540万円」はやはり高めと言えます。
価格は購入者の価値次第
どんな車両どんな価格であっても、最後は購入者にとって「価値」があるかどうか。
希少性やレストアコストなどによって決まるクラシックカーの価格も、購入者が居なくては話にならず新オーナーが居て初めて成り立つこと。実際「欲しい」と思える車が相場より高くても、2台としてまったく同じ車が無いクラシックカーの世界では、その車は世界でたった1台の車。
「欲しいと思った気持ち」自体が、あなたがその車に価値を見い出せている証拠です。