ワーゲンバス

スパイファミリーに登場するレトロな車。ワーゲンバスを考察!

TVアニメ『SPY×FAMILY』シーズン1/2話で登場する、主人公ロイドフォージャーが乗っている車「ワーゲンバス」を徹底考察!

空冷ワーゲンオタクの筆者が、モデルや年式を始め、アニメ登場車の特徴までを詳しく解説!車の正体が分かるとスパイファミリーがさらに楽しくなる!?

車種

フォルクスワーゲン「Type2(タイプ2)」。

生産国はWEST GERMANY「西ドイツ」。タイプ2の生産期間は1950年〜1979年(ドイツ生産分)。ただ、タイプ2には大きく分けて前期型(T1)のアーリーバスと、後期型(T2)のレイトバスがあり、登場車両は1967年までのアーリーバス

日本では「VWタイプ2」や「ワーゲンバス」の愛称で親しまれ、単に「バス」と呼ぶことでワーゲンバスを指す場合もあります(海外ではマイクロバスやサンバと呼ばれ、総称は独トランスポルター・英トランスポーター・米デリバリーバンなど)

モデル

アーリーバス・パネルバン』

窓の数に様々なバリエーションがあるのがワーゲンバスの特徴の1つでもありますが、アニメ登場車は後部サイドに窓が一切無い「パネルバン」。荷物のみを積載することを目的とした商業モデルです。ちなみにバスのバリエーションの中には、窓数の多い乗用モデルの他に、窓数が若干少ない「人+積載」を両立したモデルの「コンビ」(人+積載のコンビネーションの意味)もあります。

1967年式パネルバン

アニメ登場車は、運転席と後部荷室が小窓のある壁で仕切られていますが、本来この部分に壁は無くスルー。パネルバンやコンビのベンチシートモデルにのみ設定されたメーカーオプションにあった、脱着式パーテションパネル。(ベンチシート以外にもセパレートシートのウォークスルーモデルもあり)。現在このパーテションパネルはかなり希少。

パーテションパネル

ブラックのステアリングやダッシュに付いたスイッチノブが黒いのも、パネルバンとコンビのみのディテールであり特徴の1つ。その他のモデル(マイクロバス・デラックスモデル等)はすべてアイボリーなので、このカットを見るだけでも『バン』と分かります。

黒ステアリング・黒スイッチノブ

年式

『1965年式』

タイプ2をよく知らない方にとっては「ワーゲンバス」一括りかもしれませんが、時代ごとに多くのマイナーチェンジがあり、そんな部分を知ることで、年式を見分けることも出来ます。

  • 1950年式〜1955年式『通称バーンドア」リアゲートが無く、大きなエンジンハッチが特徴。
  • 1956年式〜1963年式 ダッシュボード形状が変更。エンジンルーム形状が変更縮小され、リアゲートを追加。カーゴスペースも拡大されました。
  • 1964年式〜1967年式 リアゲート・リアウィンドウを拡大。ウインカーやテールランプも大型化されました。

アニメ内登場車は、リアゲートが大きくリアウィンドウも最大サイズであることから、『1964年式〜1967年式」。ダッシュ形状も同年代です。ただ…コレ以上の年式絞り込みは細部の違いのみであることや、その国特有の『国別仕様」などもあることから、一般の方が映像だけから読み取ることはまず不可能。ですが、年式を限定出来る部分を1か所だけ発見!

スピードメーター左にある『黒いポッチ」。実はコレ、1965年式オンリーのハザードランプ。他の年式には無く、この部分に何か付くこともありません。65年式のみのディテールです。実際、アニメ内の描写をどこまで信じるかは、信憑性に欠ける部分もあるかもしれませんが、ワーゲンバスをよく知る筆者としては、「まるでトレースしたような正確に描かれた絵」に信頼度は高いと判断。

登場車の特徴&違和感

1つ目の違和感は「ツートンカラー」。

ワーゲンバスと言えばカラフルなツートンカラーを連想する方も多いと思いますが、元々あのカラーリングはマイクロバスの純正色。商業車であるパネルバンは、新車時単色のみ。今となってはオシャレとして、ツートンカラーに塗られたパネルバンもありますが、新車当時からツートンカラーに塗られた車があったのかは、些か疑問が残ります。ただ、オプションやセミオーダーシステムが充実したワーゲンバスでは、様々な仕様が存在したのも事実。ツートンカラーが絶対に無かったとは言えません。

2つ目の違和感は「ステアリング」。

多少ワーゲンバスを知っている方なら、「ハンドルが違う」とすぐに気付いたはず?1960年代バスの純正ステアリングは横一文字の2スポークステアリング。アニメ内のバスには3スポークのステアリングが付いていますが、これは1955年式以前のバス用。ボルトオンで取り付け可能なので近年ではオシャレとして付けることもありますが、60年代当時の新車が売っている時代に、わざわざ古い年式のステアリングを付けるのか?は些か疑問。

3つ目の違和感は「スピードメーター」。

何度も見直している内に気付いた部分なので、些細な点かもしれませんが…、スピードメーターがキロ表示。ワーゲンバスには国別仕様で、キロ表示とマイル表示のスピードメーターがありますが、左ハンドルでキロ表示はかなり違和感を感じる部分。絶対に無い組み合わせではありませんが、イギリス仕様なら右ハンドル+キロメーター。ドイツなどユーロ仕様なら左ハンドル+マイル表示です。ドイツが舞台とされている中では、左ハンドル+キロメーターは違和感の残る部分です。

まとめ

スパイファミリー登場車は『フォルクスワーゲン・1965年式タイプ2パネルバン 』

細部の特徴まで実車を忠実に描かれているところは、スパイファミリーファンだけでなく、ワーゲンバスファンにとっても楽しめる、見応えのあるアニメです。

※漫画版とTVアニメ版では異なります。漫画版では1955年式以前のタイプ2(バーンドア)として描かれています。