基礎知識

フォルクスワーゲン『ビートル』の名称は実は後付け!?しかも「かぶと虫」じゃない!?

普段何気なく使っている「ビートル」の名称。実は最初からこの名前だった訳ではないことを、ご存知でしょうか?

フォルクスワーゲン社が公式に「Beetle」の名称を使うようになったのは、誕生からかなり後のこと。命名された経緯や理由については、ネット上の情報も少なく、かなりあやふや…。

この記事では、フォルクスワーゲン・タイプ1の名称が「ビートル」になった理由や経緯を、VWstyle(ブイスタ)が独自にリサーチ。まとめてみました!

名称としての「ビートル」

皆さんご存知のように、ビートルの正式名称は「フォルクスワーゲン・タイプ1(Volkswagen・Type1)」。

ヨーロッパ車の多くが、アルファベットと数字を組み合わせた型式名を「車名」としているように、ビートルも本来は「Type1」が型式名であり車名。後年は排気量やグレードの増加に伴い「VW1300」「VW1303s」などに変化していきます。

フォルクスワーゲン社設立当初は、ビートル以外に販売車が無く、「Volkswagen」を「社名&車名」としてタイプ1を販売。今となっては「名無し」とも思える状態です…。※「Type1」はType1系の総称でモデル毎に数字の型式はあります。例セダン113等。「Type1」の呼び名は「Type2」「Type3」登場以降に、他車との区別を目的して付けられたものです。

「Beetle」の名称は、元々ドイツ語圏で「Kafer」の愛称で親しまれていたことから、英語圏での販売を目的として、Kaferと同じ意味を持つ英語の「Beetle」と命名。ただし、ビートルの名称が公式に使われるようになった後も、正式な車名は『タイプ1』のまま。「ビートル」の名称は、通称や愛称の位置付けでした。

フォルクスワーゲン社が公式に「Beetle」と付けたモデルは、1971年に発売された、1302シリーズ(ストラット)の「Super Beetleスーパービートル」。ただし、コレもタイプ1に代わる車名ではなく、ストラットモデルを指すモデル名です。日本では同じ名称で1967年からの数年間、1500ccディスクブレーキのモデルを「スーパービートル」と表記していた時期がありましたが、広告宣伝用の表記であり非公式名です。

「かぶと虫」の愛称

日本では当時の輸入販売元であるヤナセが「ビートル・かぶと虫」として宣伝広告したことで、「タイプ1=ビートル=かぶと虫」として日本では定着。

かぶと虫になったビートルですが、「Beetle」本来の意味は「かぶと虫」…ではなく、Kaferと同じ意味の「甲虫類」。硬い殻で覆われた昆虫全般を指す単語であり、かぶと虫はその代表格と言うだけ。甲虫類は、かぶと虫以外にもカナブン・コガネムシ、テントウムシ・クワガタムシなども含まれます。

愛称は国別で違いこそありますが、カナブンやテントウムシ(LadyBug)などに例えられることも多く、アメリカでは小さな虫を意味する「Bugバグ」の愛称で古くから親しまれています。「Bug」の愛称は60年代初頭よりVW公認で、アニメなどでも多く描かれており、アメリカでは公的機関(役所・税関等)でも、車名が「Bug」で通ってしまうぐらい、一般に浸透している名称です。

『ビートル』名称まとめ

一般的に自動車の車名は、メーカー側がその車のイメージやより良く見せたいと言った願いを込めて命名されることがほとんどですが、「ビートル」はそれとは違い、ファンの間で言われていた愛称が、後に公式名称になった珍しいパターンです。

ビートルの愛称は「かぶと虫」にせよ「てんとう虫」にせよ、共通して言えるのは、世界中多くの方々が持つ、ビートルの「小さな虫」のイメージ。

はっきり言って、どんな昆虫に例えるかはあなたの自由です。ですが、ビートル=かぶと虫「はがりではない」と言うことだけは知っていて欲しいところ。愛嬌のあるビートルの姿も、また別の虫に見えてくるかも?